壊れません・・・

 いつもお世話になっております。
 LUCE代表の綱田です。


 先日、とあるお客様(リピート顧客の方です)から以前施工したカーポートの位置を移動して欲しいという依頼を受けました。
そのカーポートを施工したのは約10年ほど前で、私が施工職人時代に工事した物でした。
早速現地を見に行き、移動場所を確認して、現在のLUCE金物施工スタッフに連絡しました。

 そして後日金物スタッフWが現地へと工事へ向かいます。順調に屋根部分をバラしていき、柱の抜き取りにかかった時です。Wは絶句しました。

  『基礎コンクリートでかすぎ!』

 まあ、しょうがないか・・・と、電動ハツリ機にてバリバリ割り始めたWは再度絶句。

  『このコンクリート硬すぎ!』

 機械が弾かれて割れない割れない。

 2本の柱の足元のコンクリートを割り終えたのは、夕方5時でした。2人掛かりでハツること約6時間。すっかりハツリ機のブルポイント(先っちょの部品)はまん丸に。


 W曰く、『誰っスかねぇ〜、こんな基礎作ったの?震災でも壊れませんよ、あのカーポートは!』

 綱田『それ作ったの俺。』

 W『・・・、やっぱり・・・。』


 本当の強さは壊れた時、または壊そうとした時にわかるもんです。

 
 実は全く知られていない金物施工に対する建築基準。ちゃんとあるんですよ。業界の中でも知っている人間はほんの一握りで、施工スタッフや職人レベルとなると、ほとんどが経験値だけで工事し、理論的な見解からこれだけの基礎が必要という知識はほとんどありません。

 そして仮に職人全てがこの事を熟知していたとしても、守る事はないでしょう。これは皆知っていても言わない暗黙の事実です。

 何故守らないかはご想像にお任せします。ほとんどの方はピーンと来てると思いますが・・・。


 ご参考までに・・・
 一般的な片流れカーポートの足元基礎の標準施工寸法(建築基準法順守の場合の)は、W700×D900×H550となります。この寸法の土を掘削した場合(クラッシャー分+H100含む)、約0.4m3の残土が1箇所につき出る事になります。通常柱2本は絶対にあるので、0.8m3残土が出る計算です。土の比重は約1.8くらいですので、重さにして約1.4t。体積だとほぐし土量の変化率を1.2くらいとすると、約1m3の土を残土として持ち帰る事になります。そしてコンクリートの重さはなんと、1.5t!!

実際の施工では、本当にここまでパーフェクトに基礎をしなくても、カーポートが倒れたりすることは、まずありません。しかしながら計算上では、これだけの基礎重量が無いと、片流れのカーポートの強度(風に対するところや、上からの重量[雪]に対するところ)は保てないわけです。
もちろん土間コンクリートを併設する場合は上記の限りではないのですが、それでも一定の大きさの基礎が必要であるという事に、違いはありません。

 土木的な知識が豊富な方なら、積算すればどれくらいの費用がかかるかは、簡単にわかるはずです。


 お客様に一つだけアドバイスです。

 カーポート施工を依頼し、施工職人がワンボックスカーで施工に来たら、それは100%手抜き工事です。堂々と断言します。1t積みのワンボックスカーにそんな残土は積めませんし、そんな大量のコンクリートを積載できるわけがありません。そして残土処分の為にダンプカーを持ってくることも無ければ、生コン車を呼ぶ事もないでしょう。
=土嚢に数杯の砂とセメントしか持っていない=基礎かなり小。という3段論法も成り立つはず。
まあ手抜きなのか、それでよしとしているのかはわかりませんが。


 ちょっとマニアックな話になりすぎた・・・かな・・・


 選ぶのはお客様自身です。しかし外構エクステリア業界ほど、金額で決めるのが危険な業界はありません。こんなに金額で選んではいけないものであるはずなのに、金額だけで選ばれて儲けている会社が多くあるのも事実です。そして素晴らしい工事をしているのに潰れている会社も多くあります。


 少し前に『姉歯事件』というのがありましたが、この事で建築業界が大きく変わったと言う事実があります。
でも私は本質的にはそれほど変わったとは思っていません。もちろん外構エクステリア業界のことですが。


 外構エクステリア工事には、検査機関の検査もありませんし、性能試験結果の提示もありません。冒頭で申しましたように壊れた時又は壊した時にしか評価できません。

 私は施工スタッフが文句を言おうと、儲けが薄くなろうと、基準は変えません。変えてはいけません。死ぬまで自分の工事に嘘はつくまい。

 
 それが私の生き方。

 それがLUCEの外構。

 
 保証書なんかでは表せない、私とLUCEの生んだ物たちとの一生のお付き合いです。


 こんな不器用な私ですが、今後とも何卒よろしくお願い致します。




 にほんブログ村 住まいブログ エクステリア・ガーデンへ
にほんブログ村